移動平均線はどう使う?
移動平均線は色々なテクニカル手法で使われてるので、20MAや75MAなどその設定値に拘っている方も多いと思いますが、
移動平均線の本来の目的は、ダウをよりシンプル化することで、トレンドの波の大きさを把握できるという利点が一番大きいです。
ですから、まずは①~④の回でお話しした実践ダウ理論と平行ラインをしっかり理解した上でご覧いただけたらと思います。
移動平均線の設定値の話
移動平均線とは数値で設定した期間の売りと買いの平均値を表しています。
一般的に良く使われている数値としては
1ヵ月(短期トレンド)=25期間前後
3ケ月(中期トレンド)=75期間前後
1年(長期トレンド)=200期間前後 などがありますが、
実は設定値自体はあまり重要でなく、特に初期段階で設定値にこだわり過ぎると、反対に大事な本質を見失ってしまいます。
ただ、多くの市場参加者が使っている数値の方が優位性が高いと言えるので、
見える化で使われているのは各時間足統一で、20SMA、75SMA、200EMAをメインに使っており、その前提で話を進めていきます。
まず移動平均線には、
グランビルの法則
というものがあり、詳しく以下の図で説明していきます。
①この時点では、ローソク足が移動平均線を若干上抜けたところですが、
これはポジション総数の20期間の平均が若干買いに傾いてきた段階です。
そして、移動平均線を上抜けした後は再度移動平均線まで戻って(黄色の□)で支えられ易くなります(=J.Eグランビルが発見)そして、
②の段階で、戻り高値を抜けることで上昇トレンドが発生したことになり、トレンドが
③まで続いているのが分かります。ちなみに、
④の段階でも、同様に上抜けした後に移動平均線に支えられてますが、ここでは戻り高値を明確に越えておらず、まだ調整期間の段階なので買う事はできません。
次に下落ついては、
まず最初に、移動平均線にタッチした段階では抑えられて下がり切りませんが、
⑤で押し安値を下抜けてからやはり一旦戻って⑥の(黄色の□)で移動平均線で支えられ、その後
⑦まで下落トレンドが継続してます。
この様にグランビルの法則では、移動平均線を上抜けると再度移動平均線に支えられて押目買いが入りやすく、下抜けると戻り売りが入りやすいという事を言っています。
そして上の図の様に、移動平均線のグランビルの法則もその中身はダウ理論に基づいたエリオット波動1波(先行期)、2波(追随期)、3波(利食い期)形成をしっかりと表している事が分かると思います。
なので結局はどの手法も基本は、ダウ理論に基づいた注文の集中が大事である限り、
相場は人間心理で動いている
という本質につながります。
今回は移動平均線なのでダウ理論についてこれ以上深くは言及しませんが、これまでの4回で話したダウ理論の本質を理解していくことで「あれも違うこれも違う」と言ったテクニカルやノウハウコレクターになることなく、いろんな手法も初めてより有効な判断材料として使っていけるようになるという事です。
次に、
移動平均線を使う上での注意点
についてお話しますと、移動平均線はあくまでも市場参加者のポジション総数の平均を視覚化しただけで、またその数値も自由に変えられる以上、
ピンポイントで移動平均線にタッチしたらエントリー・決済などの判断材料にはなりません。
そこでより有効的に移動平均を使うための方法について書いていきます。
売りと買いのエリアで考える
上の図のように移動平均線を境に売りと買いをエリアに分けて捕らえる方法です。
移動平均線の上の方では買いのポジション総数の平均値が多いので買いを考える。下の方では売りのポジション総数の平均値が多いので売りのことを考えるという感じに。
そう考えると平行線と同様に移動平均線も買いと売りの損益分岐点なので、やはり多くの市場参加者が
注文が集中しているところと見てくるわけです。
では、具体的に
短期移動平均線と中期移動平均線
を入れたチャートで見ていきましょう。
上の図に書かれている「中期移動平均線は、短期移動平均線の一つ上の時間足にリンクしている」 という事をまず知っておいてください。また太い矢印は中期移動平均線・細い矢印は短期移動平均線の売り買いの圧力方向を示しています。
その上で、
①の場面では短期移動平均線は下向きに反転してますが、中期の方はまだ上昇中なので下がっても上に戻ししやすい状態です。
②では短期・中期ともに下向きに反転して大きく下落しているのが分かります。
③は短期が上向きに反転してますが、中期は下落のままなので上がっても下がりやすい場面となります。
このように2つの移動平均線を使うことで、一つ上の上位足の資金が付いてくるかどうかが分かるので環境足で値幅を伸ばせるか?伸ばせないのか?の判断材料になります。
また移動平均線を理解することで、どのくらいの資金が入ってくる場所なのか?をより把握しやすくなることにより、チャートに張り付いていた方がいいのか? しばらく放置して見なくても大丈夫なのか? が明確になるので、
①や③の場面で遅すぎる決済をして吐き出しが多くなったり、
②のような伸びる場面で早すぎるビビり決済もなくなってきます。
もうひとつ移動平均線の特徴として、一度向きを変えたらそう直ぐには向きが変わらないため、買いポジションをホールドしたら買いのエリアにいる間は反転しにくいので、急激な反発に惑わされずポジションをホールドできるようになりますし、
逆に上位足が逆向きの場合でも、あらかじめ①や③のような伸ばせないエリアだというとこが分かっていれば、短期足のひと波だけ取りに行くということも可能になってきます。
まとめ
最後に移動平均線を使う上で大事なこととして、移動平均線はあくまでもダウの補助であって大切なのはあくまでも注文の集中を見抜く力です。
その上で移動平均線が付いてきているかどうか?をプラスするこによって「方向と勢い」をより明確にするための補助ツールであることを理解した上で、さまざまな相場環境に臨機横柄に対応できる能力を日々の筋トレで身に着けていきましょう!
今回も最後までご覧いただき有難うございます。
より詳しく知りたい方へ
上記の内容を以下の動画でより詳しく実践的に解説されてますので、ぜひご覧ください!
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